動的IPアドレスと固定(静的)IPアドレス

IPアドレスとはインターネットにおける住所や電話番号のようなものです。IPアドレスにはグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスがありますが、このうちグローバルIPアドレスはインターネット接続業者(プロバイダ)から割り当ててもらうことになります。


このグローバルIPアドレスですが、使っているうちに変わることがあります


どういうことなのかというと、まあ言葉の通りで自分のパソコンなどのグローバルIPアドレスがいつの間にか変わるということなのですが、IPアドレスを住所や電話番号に例えるのなら、自分の住所や電話番号がいつの間にか変わっていることになります。


これはちょっと疑問に感じるかもしれません。インターネットはIPアドレスを宛先にしてデータを送り届けするものなのに、そのIPアドレスが勝手に変わるなんて、そんなので大丈夫なの? と気になります。しかしウェブサイトを見たり、メールをやり取りするには自分のIPアドレスが変わっても問題ないのです。理由は後で説明するとして、IPアドレスが変わるタイミングとしては次のようなものがあります。


例えば家に固定でインターネット回線を引いている場合、通常はグローバルIPアドレスを1つ割り当てられますが、電話回線を契約した時に電話番号をもらうように、インターネット回線契約をした時にプロバイダから「あなたのIPアドレスは○○○番です」といった具合にIPアドレスをもらえるのかといえば、そうではありません。IPアドレスはインターネットに接続した時に割り当てられます。家の固定回線なら、接続しているモデムの電源を入れて起動した時です。


そしてこの時のIPアドレスがずっと自分専用のものになるかというと、そうではなくて、モデムの電源を落としてインターネット接続を切断すると、そのIPアドレスは誰のものでもなくなってしまいます。なので同じ番号がまったく別の人に割り当てられたりします。再びインターネットに接続した時にはまた別のIPアドレスが割り当てられます。結果、その時々で自分のIPアドレスが変わってしまうのです。このように番号が変わるIPアドレスを動的IPアドレスといいます



動的IPアドレス


先ほどの例ではモデムの電源を入れ直した時について述べましたが、IPアドレスが変わるのはインターネットに接続し直した場合だけではありません。ずっとインターネットに繋がっていても変わることもあります。どのタイミングで変わるのかはプロバイダによります。


実際には常時接続している回線のIPアドレスが、そんなにしょっちゅう変わったりはしないようですが、それでもどのタイミングで自分のIPアドレスが変わるのかを自分で決めることは出来ません


これはなんだか不安になりそうです。しかし先程も述べたように自分の機器のIPアドレスが知らないうちに変わっていても基本的には差支えありません。


なぜならば通常の使い方ですと、パソコンやタブレット、スマートフォンでインターネットを利用するのは、常にこちらから相手のサーバーにアクセスしているからです。電話でいうと、こちらから相手に掛けるだけの状態なので、相手の電話番号さえ決まっていればそれでいいのです。


「でもウェブサイトを見るときは相手からサイトのデータを送って来ているから見ることが出来るのでは? それにメールもこちらに送って来ているし、その時はこちらのIPアドレスが変わっていたりすると送りようがないのでは?」という疑問があるかもしれません。


ですが最初にアクセスするのはこちら側なので、その時に今現在のこちらのIPアドレスを教えてあげればいいのです。


パソコンでウェブサイトを閲覧する場合、ウェブサーバーに「あなたのウェブサイトの情報をください。現在の私のIPアドレスは○○○なので、これ宛にウェブサイトの情報を送って下さい」とお願いしています。そして要求されたサーバー側では、教えられたこちら側のIPアドレス宛に、ウェブサイトの文字なり、画像なりのデータを送ってきているのです。


メールの場合も同様です。スマートフォンのEメールの自動受信などは、相手がこちらのスマートフォンにアクセスしてメールを送っているようにも見えますが、あれはスマートフォン側のアプリが自動でメールサーバーにアクセスしにいっているので、やはりこちらからアクセスしているのです。


こちらの機器が常にアクセスする側で、サーバー側はそれがウェブでもメールでも、相手からアクセスされた時にのみ、返す形でデータを送ってきているので、こちら側のIPアドレスがいくら変わろうとも、アクセスする時に今現在のIPアドレスを教えてあげれば、サーバー側は問題なくこちらにデータを送ることが出来るのです。


「ではサーバー側のIPアドレスは変わったりしないの?」と思うかもしれませんが、サーバーのIPアドレスは勝手に変わったりしません。そんなことになったらサーバーにアクセス出来なくなります。携帯電話でもこちらの電話番号が変わった場合は、相手に「番号変わったよ。新しい電話番号は○○○だから、これからはその番号に掛けてね」と教えてあげれば、相手はこちらに連絡をすることが出来ますが、相手の番号まで変わってしまってはお互いに連絡する方法がなくなります。音信不通です。


なので通常サーバー側はIPアドレスが変わらないようになっています。こういった不変のIPアドレスは固定IPアドレス静的IPアドレスなどと呼ばれます。


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固定(静的)IPアドレス

そもそも動的IPアドレスなどという、面倒なものが何故あるかというと、世界的にグローバルIPアドレスが不足しているという問題があるからです。不足しているのでなるべくIPアドレスを使い回して節約しているのです。


ですがサーバーにまで動的IPアドレスを使うわけにはいかないので、そういった場合に固定IPアドレスが使われます。固定IPアドレスであれば住所や電話番号のように、決まったグローバルIPアドレスがずっと割り振られているので、手紙を送ったり電話を掛けたりするのと同様に、世界中どこからでもそのIPアドレスを指定してアクセスすることが出来るのです。


家庭の回線でもホームサーバーやNASを設置して外出先からアクセスをするような使い方をする場合は、固定IPアドレスが必要になってきますが、固定IPアドレスを契約するにはプロバイダに追加料金が必要なので、大抵の場合はダイナミックDNS(DDNS)といった、別の方法を使うことになります。


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